隣の芝生に足を踏み込むと大ヤケドしてしまうかも?~士業間の業際という問題~

税理士や弁護士、社会保険労務士などのいわゆる「士業」と呼ばれる人たちは、それぞれの専門分野というものを持っています。

税理士であれば税務、弁護士であれば法律全般、社会保険労務士などであれば人事労務などといったカテゴリーが当てはまります。

ただ、どうしても実務を行っていると

「その分野は違う士業のカテゴリーなんだけどなぁ・・・( ゚Д゚)」

という部分が出てしまうのですよね。

こういったお互いの士業の業務が被ってしまうようなポイントを「業際(ぎょうさい)」と呼ぶのですが、士業にとってこの業際問題はやっかいなのです。

 

士業の業際は法律の問題

 

本格焙煎が売りのコーヒーショップが、コーヒー以外にサンドイッチやスイーツのメニューを出しても問題はないですよね。

むしろお客にとっては

「おいしいコーヒーを飲みながらデザートを食べられるなんて幸せ♪」

と思う人も多いかと思います。利用する側にとってみれば有り難いことです。

では、同じようなことを私たちのような税理士がやってみてはどうでしょうか?

会社の会計や税務申告だけでなく、社会保険の手続きや契約書の作成、トラブルが起きた際の仲裁や登記手続き。
会社にまつわる全てのことを同じ窓口で済ませることができるのであれば、利用する側にとってはありがたいはずです。

でも実務的には、そういったワンストップサービスを行うためには税理士の資格だけではダメなのです。

会社などのビジネスにまつわる業務を代行することについては、「この資格を持っている人しかやってはだめですよ」という独占業務というものが法律で決まっています。

例えば、税務に関することであれば税理士しか代行できないことになっています。

それ以外についてもまとめてみると

▼ 法人税の申告や年末調整・・・税理士
▼ 会社の登記(商業登記)に関係する業務・・・司法書士
▼ 一定額以上の紛争の解決・調停など・・・弁護士
▼ 社会保険の手続きや事務代行・・・社会保険労務士
▼ 定款の作成・許認可の申請・・・行政書士
▼ 特許や商標の申請・・・弁理士

といったように、それぞれの業務について行ってもよいという人が決められているんですね。

もし、この独占業務について違う人が行ってしまうと法律違反になってしまいます。
懲戒や免職など仕事を失ってしまう可能性もあるので、非常にナーバスな問題なんですね。

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ほかの業界にも業際問題はある

 

もちろん、ほかの業界にも同じような業際問題というのはあります。

例えば、理容業(床屋さん)と美容業(美容師さん)なども似ているような分野ですが、実際にはそれぞれ定められている仕事の内容に違いがあります。
介護の現場でも介護福祉士や社会福祉士、ホームヘルパー、ケースワーカーにケアマネージャーなど、業界内では違いが明確でも、外の世界から見ると同じように見えるものも多いです。

ただ実際に現場のなかでは、その線引きの部分があいまいになっているところも多いのが現実。

美容室と床屋の違いを明確に説明できる人も、正直あんまりいないのではなないでしょうか。

こういった資格ごとに業務が割り当てられているというのは、

「資格=その人にその能力がある」

ということを明らかにするために必要だからだと言われています。

ただこの資格についての線引きについては、何十年前から見直されていない部分も多いのです。

人々の生活スタイルも時代によって変わってきているので、このような線引きは本来見直されて行かなければならないのですけどね。

 

業際は明確にしておくことが大事

 

お客様にとってはすべての手続きを代行して処理してあげることができれば一番便利かもしれません。

ただ、いくらお客様の望みであっても法律でNGとなっているトコロまで手を出してしまうことは、法律に則って仕事をしている私たちにとって良い状況だとは言えません。

そのためには自分たちの仕事の業際がどこまでなのかを明確に知っておくことが必要です。

例えば、相続の仕事をしていると遺産分割協議書を作成する必要がありますが、税理士の場合には

▼ 相続税の申告が必要な場合の遺産分割協議書の作成・・・OK
▼ 相続税の申告がいらない場合の遺産分割協議書の作成・・・NG

となっています。

相続税の申告が不要の場合には行政書士の資格が必要です。
ですから私の場合には、申告不要でも相続のサポートができればと思い、行政書士も登録しています。

このあたりの業際を無視している税理士も多いのですが、やはり法律家である以上は法にのっとった仕事のやり方が必要ですね。

自分がどこまでの仕事をしてもOKなのかを明確にしておきましょう。

 

まとめ

業際の問題は非常にナーバスです。

ある意味、法律によって既得権益が守られているのが士業ビジネスですが、利用する側の立場としてはあまり良い状況とは言えないのも事実。

将来的に独占業務というものが無くなったとしても、お客様に選んでいただけるようなサービスを提供していきたいと思います。

 

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【編集後記】

カレンダー的にお盆休みは終わりましたね。
自分の場合、土日祝日も含めてすべて仕事をしていたのでどこかで調整しないと・・・。

【今日のトレーニング】

5:20/kmペースで11kmほどのジョグ。
ぼちぼちペースも上げていかないと。

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

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