個人への報酬を支払う場合には源泉徴収が必要?

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お客様からいろいろと質問を受けますが、その質問の中でも多いのが
「個人の事業主の方に報酬を支払う場合、所得税を源泉徴収をしなければならないの?」
というモノ。

お給料などを支払う場合、金額などの状況に応じて所得税を天引きしなければなりません。
そして天引きした所得税を、会社や事業主がまとめて税務署に納税します。
このシステムを「源泉徴収制度」といいますが、実は源泉徴収しなければならない支払いはお給料だけではないのです。

個人への支払いのうち、お給料以外でも一定のものについては源泉徴収しなければなりません。
ちょっと分かりにくい部分ですので整理しておきましょう。

 

法律では次のような支払いについて源泉徴収することが義務づけられています。

 

① 原稿料や講演料など

原稿料の対象になるのは作家さんなどだけではありません。
例えば、税理士試験に合格した後に合格体験記などを専門学校に寄稿したりすると謝礼金がもらえることがあります。
このようなものも原稿料となります。

ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
まあ、こういったケースはレアなので一般的には原稿料やセミナー講師などの謝礼には源泉徴収が必要と思ってください。

② 弁護士、税理士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

npo-image一般の会社において、お給料以外に源泉徴収される支払いで一番多いものはコレだと思います。
税理士に報酬を支払う場合には、その支払い額の約10%を源泉徴収しなければなりません。

この支払は「特定の資格を持つ人」に対して支払う時に源泉徴収の必要が発生します。
ですので同じような支払いでも、資格を持っていない人への支払いは源泉徴収の対象とはなりません。

例えば帳簿の記帳代行をお願いしていたとします。
支払う相手が税理士であれば支払額に対して源泉徴収しなければなりませんが、無資格の人へ支払う場合には源泉徴収する必要はありません。

この対象となる特定の資格については判断に迷う部分もあります。
弁護士や税理士など・・・というとすべての士業への支払いが対象になりそうですが、そういうわけでもないのです。

例えば行政書士の業務に対する報酬は源泉徴収する必要はありません。
ただ、行政書士が業務で建築確認申請をした場合には、行政書士ではなく建築代理士としての業務になるので源泉徴収が必要となります。

また、税理士などが法人化して税理士法人となっているケースもあります。
このような場合には支払先が個人ではなく法人となりますので、たとえ支払う内容が税理士報酬であっても源泉徴収する必要はありません。

ややこしいですね。
このあたりについては誤解を招きやすいので、請求する側が請求書に源泉徴収の有無を記載しなければなりません。

③ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

病院や介護事業所などにおいては、利用者は全体の料金のうち2~3割程度しか窓口で支払いしませんよね。
残りの部分については行政の機関である「社会保険診療報酬支払基金」というところが病院などへ支払いをします。
(この財源は皆さんが納める健康保険料や税金などで賄われています)

受け取る側が医療法人などの法人でなく、個人病院などである場合には源泉徴収の対象となります。

④ プロ野球・プロサッカーの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

プロ野球選手への年俸についても源泉徴収されます。
何億円と言う高額な年俸を受け取っているプロスポーツ選手も源泉徴収されているのです。

例えば年俸一億円の選手の場合、約20%が源泉徴収されますので手取りは8千万円になります。

プロスポーツ選手には馴染みはあまりないかもしれませんが、保険の外交員の人たちもこのカテゴリーに該当します。
保険のセールスレディも「保険販売のプロ選手」ですからね!

⑤ 芸能人などに支払う報酬・料金

芸能人へのギャラなども源泉徴収の対象です。
ただ同じ芸能人であっても、会社になっている芸能プロダクションに所属してお給料制になっている芸能人は、この源泉徴収の対象ではありません。
ただ、受け取っているお給料については「お給料としての源泉徴収」がされていますけど。

⑥ ホステス・コンパニオンなどに支払う報酬・料金

210キャバクラなどで働く女の子への支払いについても源泉徴収の対象となります。
ただ、ちょっとこの部分についてはグレーゾーンが結構多いです。

女の子への支払いをお給料として払っているお店もありますし、報酬として払っているお店もあります。
お給料となるか報酬となるか、この判断が非常に難しい。

報酬というコトは独立した個人事業主という認識なので、あくまで提供したサービスがなければ報酬と言うことになりません。
ですので、お客様が来て指名してもらうまでの待機中には報酬が発生しないことになります。
たとえば「1時間2,500円」と言う内容で女の子に支払いをしていた場合には、お客についていない時間にも報酬を発生されることになってしまいます。

このようなケースで、報酬ではなく給料であると判定された判例もあるので扱いには注意が必要です。

まあ、お店の人にこの判定をしろと言っても無理があるかと思いますけど・・・。

⑦ プロ野球選手などへ一時に支払う契約金

プロ野球選手などへ契約金を支払う場合についても源泉徴収が必要です。
実際にはサービスを提供する前の段階ですが、このような収入にも源泉徴収が必要となります。

受け取る側にとってはその年だけガバっと収入が増えてしまい税負担も高額になりますが、そのような場合には平均課税という申告を行えば税負担を減らすこともできます。
ちょっと計算は複雑になりますのでなかなか自分では申告するのは難しいかな?
ただ、やれば相当の税金を減らせる可能性があるので、このような支払いを受けた場合にはぜひ税理士に相談してみてください。

⑧ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

今夜、ちょうどテレビで「キングオブコント」と言う番組があります。
コント芸人日本一を決める大会ですが、優勝賞金なんと1,000万円!

芸能事務所とっぱらいで賞金貰えるそうですが、このような支払いにも源泉徴収が必要となります。

賞金額や賞品額が50万円を超える場合には源泉徴収されることになっています。
たとえ賞金が1000万円でも手取りは約800万円ほど。それでも高額ですが・・・。(-_-;)

昔、東京フレンドパークと言う番組でルーレットダーツでパジェロがあたるコーナーがありましたが、あのパジェロも源泉徴収の対象です。
車両相当額が50万円を超えているでしょうから、超えた部分について源泉徴収されます。

といっても車本体から源泉徴収するわけにはいきません。
まさか「源泉徴収としてエンジン部分は納めてください」とはなりません。
このようなケースには、商品を受け取る側に源泉徴収部分をお金で支払ってもらう必要があります。
例えばパジェロが300万円相当であった場合には、約30万円ほどを受け取る人に負担してもらうコトになりますね。

それでも30万円でパジェロが手に入ればめちゃくちゃ嬉しいですけど(*^^)v

確定申告 ボールペン

これらの源泉徴収された所得税については、確定申告時には反映されます。

もし多く納め過ぎてしまっていた場合には還付されますので、必ず確定申告時には「自分がいくら源泉徴収されているか」を確認しておくようにしましょう。

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

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