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神奈川県小田原市の会計事務所
神奈川県小田原市飯田岡91-3
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実は専門家が一番オイシイ?「過払い金返還請求」というビジネス

「借金の過払い金返還請求」というものをご存知でしょうか?

ラジオのCMなどでもよく流れていますし、新聞の折り込みチラシなどにも入っていたりするのでご存知の方も多いかと思います。gf1420342161

クレジットカードのキャッシングや消費者金融などを利用したことのない方なら無縁の話かもしれません。

でも、これだけCMやチラシが入っているというコトは何かしらの理由があるからなのです。

今回はこの「過払い請求ビジネス」のことについてまとめてみました。

 

 

そもそも「過払い金の返還請求」ってナニ?

そもそも「過払い金」というものはなんでしょうか?

ここで言う「過払い金」とは,カード会社や消費者金融などの業者から、法律上支払う必要が無かったのにも関わらず払い過ぎていたお金のことを言います。

お金を貸す業者は「利息制限法」と言う法律に基づいてお金を貸す必要があり、その際に定められた金利の範囲は金額に応じて15~20%と決まっています。
実はこれと似たような法律で「出資法」という法律があるのですが、その法律の中では29.2%という上限金利が定められていました。

一般の方にお金を貸す場合には出資法の金利を適用するのは違法なのですが、たとえ民事上は無効でも刑事罰の適用が無かったので、貸金業者のなかにはこの出資法の金利に基づいてお金を貸しているケースが多かったのです。
このような利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差の部分は「グレーゾーン金利」と呼ばれています。

※貸金業法は平成18年に改正され、現在では出資法でも上限金利が20%となりました。

過払い金請求というものは「このグレーゾーン金利に相当する部分は払い過ぎなので返してもらいましょう!」という趣旨なのです。

grap_kabarai(引用元:ベストファーム法律事務所)

 

一般的に消費者金融のような業者と5年以上取引を継続していた場合には過払い金が発生していると言われています。

 

法律家による返還請求の実態

多く払い過ぎた利息があるというコトがあるのは分かったけど、どうすれば返してもらえるかなんてわからない・・・

過払い金を返してもらえる方でもそのような方がほとんどだと思います。

そのような方をターゲットとして現れたのが「過払い金返還ビジネス」というもの。

弁護士や司法書士などの法律家が、過払い金の可能性がある人に「代わりに返還請求しますよ!」と持ちかけます。

弁護士などの専門家は、それらの人の委任を受けて消費者金融に過払い金請求をし、戻ってきたお金の何割かを成功報酬として受け取るのです。

過払い金返還請求ではいくつか有名なところがありますが、そのなかのA法律事務所というトコロの売上の実績が載っています。

弁護士法人A法律事務所がホームページ上で公表している過払い金回収実績は、’12年11月1日時点で15万4219件、804億1781万円。
仮に報酬金を回収額の20%とすると、同事務所はこの請求だけで160億円強を稼ぎ出したことになる。
もっとも、この額は、示談交渉により過払い金を回収した場合の一般的な報酬率を基に計算しているので、裁判になった場合等を踏まえると、報酬金はさらに膨れあがる。

このような大手の専門事務所ではなくても、過払い金返還請求をビジネスとして荒稼ぎをした弁護士がいるという記事もありました。

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だいたい平均して返還請求の報酬は、返還してもらった金額の20%程度だそうです。

例えば100万円返ってきたとすれば、弁護士などの報酬は100万円×20%=20万円ということになります。

 

日本貸金業協会によれば、全国の消費者金融などの業者が返還した過払い金総額は2008年がピークで約1兆円、2012年度は約5千億円だったそうです。

弁護士などの法律家が20%の手数料で回収していたとすると、年間1,000~2,000億円の報酬額が弁護士などの手数料として上がっていたということになります。
これは相当なビジネスの規模ですね。CMやチラシをバンバンうっている理由も良く分かります。

 

ただ問題やトラブルになることも多い

 

ただ、やはりこれだけビジネス規模が大きくなってくると問題も少なくありません。

あまり知識や経験のない専門家に依頼すると、債務整理手続きなどで金融業者のブラックリストに載ってしまうという話もあるようです。

また、実際の返還請求の事務手続きは、書類さえそろえば誰でも出来てしまうような内容と言われています。
弁護士などが実際に動かなくても事務員レベルで処理できてしまうので、途中でトラブルになってしまうようなケースもあるようです。

知り合いの弁護士の中には「この程度の仕事で20%も成功報酬をとれない」と言っている方もいました。

また、過払い金請求をする法律家のコンプライアンスも気になるところです。
関東信越国税局では平成20年における「過払い金返還請求ビジネスに対する実態調査」を公表しています。

社会的な注目や関心の高い事案に対して的確に調査を実施していくことは極めて重要であり、各種情報の収集・分析に努め、重点的に調査に取り組んでいます。
今回、最近マスコミに取り上げられている過払い金返還請求ビジネスに係る実地調査の事績を関東信越国税局で取りまとめました。
その結果は、以下のとおりです。

・ 調査件数 67件
・ 非違件数 57件
・ 申告漏れ所得金額 7億円
・ 追徴税額(加算税含む) 3億円
・ 重加算税賦課件数 4件
・ 1件当たりの申告漏れ所得金額 1,098万円
・ 1件当たりの追徴税額(加算税含む) 423万円

調査67件に対して非違件数57件ということは、約85%の弁護士などの法律家が申告を誤っていた(過少に申告していた)ということになります。
(法律の専門家と言われる弁護士ですが、税法には詳しくないというのがお分かりいただけるかと・・・)

「20%以上の金利をとるのは違法だ!」と声を高らかにあげて金融業者に請求するのはいいのですが、自分たちも「返還した金額の20%の報酬をとりますよ~」と言うのはどうなのかなぁというのが個人的な感想です。

 

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平成19年に出資法が改正され、また過払い金返還請求の時効が10年ということを考えると、そろそろこの「過払い金返還請求ビジネス」は賞味期限切れが近づいてきました。

これらのビジネスで荒稼ぎした法律事務所が、次にターゲットとするモノは何か気になるところです。

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神奈川県小田原市で税理士やってます♪
シンプル化&ITツールの導入で仕事を効率化するのが得意です。
トレイルランやマラソンも大好き。
今の目標は「トレイルランで百名山を制覇するコト」 です!

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