国税OB税理士だからこそ人一倍の倫理観が必要では?

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昨日、脱税の指南をしたとして元国税局職員と税務署OBの税理士が逮捕されました。
国税OBが脱税などの容疑で逮捕される事件が後を絶ちません。

元国税職員が脱税を指南するという不祥事

昨日の報道は以下の通りです。

顧客企業に脱税法を指南し法人税約3億4500万円を免れさせたとして、東京地検特捜部は21日、法人税法違反容疑で、国税OBの元税理士植田茅(70)=東京都新宿区=、税理士松本剛(54)=世田谷区=両容疑者ら4人を逮捕した。
他に逮捕したのは、出会い系サイトなどを運営するシステム開発会社の実質経営者山辺英人(35)=渋谷区=、小林理(48)=横浜市=両容疑者。
逮捕容疑では、植田容疑者らは山辺容疑者らに脱税法を指南。
架空外注費を計上するなどの方法で、2012年4月期に所得約11億5400万円を隠し、法人税約3億4500万円を免れたとされる。
(2015/10/21 時事通信社より)

取り締まっていた側の人間であるにもかかわらず、その時の知識を悪用して犯罪に手を出すとは言語道断です。

例えて言うならば、殺人事件の捜査方法や手順を熟知していた警察官が、自分の手で殺人事件を起こしてそれを隠そうとしたことと同じです。

税務署のOBであれば、どのような手順で税務署が調査を行っていくかなどということは百も承知。
どのような手口を使えば税務署に見つかりにくくなるか・・・ということも分かっているはずです。

あきれてしまうブログ記事

今回逮捕された植田容疑者は自らのブログでこのように書いています。

脱税をする事は簡単。

税金を納めない事も簡単。
簡単だけど、逃げおおせるかが問題。
だいたい、2~3年は必死こいて稼ぐのですが、4・5年頃から「税務署が来たらどうしよう……」「査察は、やばいよなぁ」と思い始めるものです。

税務署に、儲かっている事が一番分かりにくいのは現金取引。
売りも現金、仕入れも現金、経費も現金。すべて現金で行う事。
そして、領収書も貰わない、領収書も渡さない。
これだと、商売そのものをしている事がバレないので、税金なんか心配しなくてOK。

でも、この後が大変。
儲けたお金、貯め込んだお金をどうするかかで、次のヤバさが出て来ます。
銀行に預けると、いつ、どこで、税務署にこの預金が発覚するか分りません。そこから足がつきます。
マンションを買えば、車を買えば、クルーザーを買えば、そこから足がつきます。
こう考えますと、税金を払わないと何にも買えない……この事に気づきますね。

愛人を作る、ホストをはべらせる、毎日飲みあるく、せいぜいこれ位しかできませんね。
愛人を作っても、この愛人とトラブルと愛人から密告されるかもしれない……そんな事も考えた方が良いでしょう。
後は、そうですね~。人の名前を借りてマンションを買うか……でも、これもトラブルになりそうですね。
まぁ、儲かって儲かって仕方がない時は、税務申告をして、その残りでマンションを買うなり、不動産を買うなり、奥さんにダイヤを買ってあげるなり、子供さんを留学させるなり、次の投資を考えるなり、そうした方が賢明です。

ただ、申告の仕方や、節税対策で、税金の額に大きな差が出てくるのは当然の事です。
申告間際になってアタフタするより、早目早目に手を打つ事をお勧めします。

【植田の独り言】
税金逃れはなかなか難しい。
自分一人での商売なら、あるいは逃げられるかもしれませんが、相手がいる事ですから、なかなか逃げられません。
売りが立てば、相手は経費にする訳で、相手は経費になるものをわざわざ裏にする事はありません。
A商事から幾ら仕入れた(購入した)と経費にするでしょう。
そうしますと、税務署はA商事では売上に立ってるの?と考える訳ですね。
商売にはプラスがあればマイナスがあるもので、どちらかを隠せばバランスが合わなくなります。
かくして、税務調査でプラス分はどこに行ったぁ?となる訳ですね。
イチかバチかで、申告、やめてみますか?

(2010/12/1の記事より)

ということで、いちかばちかで脱税を指南した結果、逮捕されるという結末になったわけです。

PAK86_atamawokakaerudansei20131223-thumb-1000xauto-17229もうね・・・同じ業界にいる人間として情けなくなります。
こういったことを誰でも見れてしまう公開の場で堂々とブログに書いてしまう神経もスゴイですね。

少なくとも数年前までは取り締まる側にいた立場の人ですよ。
「無申告や脱税は罰せられるのでキチンと申告をしましょう」
という立場を貫いてもらわないと…。

まるで
「現金で取引したものはすべて税務署が見逃してくれる。税務署にはそんな調査能力しかない。」
と公言しているようなものです。

元警察官が
「速度規制は40km/hだけど50km/hまでだったら捕まえない。なのでスピード違反は簡単。」
「イチかバチで、一般道で200km/h、だしてみます?」
と書いているようなもんでしょ。

国税OBの不祥事は後を絶たない

税務署OBや職員の不祥事は後を絶ちません。

▼OB税理士に頼まれ虚偽報告書作成 大阪国税局、職員2人を処分 

▼大阪国税局OB、また脱税関与 大阪地検特捜部、税理士ら5人逮捕 占い業者6400万円脱税容疑

▼国税OBの税理士逮捕 法人税脱税指南容疑

ざっと調べただけでもこれだけのニュースが出てきます。

知らない方もいられるかもしれませんが、国税関係の職員を20数年間務めたのちに申請をすれば税理士として登録をすることが出来ます。
むしろ国税あがりの税理士の方が多いくらいです。
(半分くらいの税理士は国税OBかもしれません。)
税務署退官後に税理士登録するわけですから、60歳代から税理士を始める方も多い。
税理士の平均年齢が高いのは「国税OBの税理士が非常に多い」ということが一番の原因です。

「税務署の内部が分かっているからこそ、どのような手順を踏めば税務署をごまかせるのか」

ということを一番知っているのは国税OBです。

だからこそ、国税OBの人はほかの税理士よりも強い倫理観をもって業務にあたって欲しいものです。

もちろん国税OBの先輩にも素晴らしい税理士の方もいっぱいいられます。
ただ、そういった人たちの苦労もこのような人たちのせいでイメージが傷つけられてしまうのです。

簡単に税理士になれてしまうから倫理観が欠如してしまうのかもしれませんね。
税理士制度の根幹を揺るがす大きな事件だと思います。

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。