農業をやめてしまうと固定資産税が跳ね上がってしまう?~耕作放棄地をどうしていくか~

都会の方が色々な種類のビジネスがあるので、さまざまな内容の確定申告があるのかなと思います。
ただ地方の方がダンゼン多いのが「農業所得」の確定申告ではなかろうかと。

最近はTPPやら何やらで日本の農業も注目を集めていますが、現実問題として農家の収入は非常に厳しい。
お客様や無料相談会場に来られる方には農業所得がある方が多いのですが、ほとんどの方が赤字です。

さらにそれに追い打ちをかけるように、遊休農地については固定資産税を上げることが検討されています。

遊休農地の固定資産税がアップ?

政府は平成28年度の税制改正として、遊休農地に対する固定資産税の増加を検討しています。

【農地保有に係る課税の強化・軽減】
農業委員会から農地中間管理機構との協議の勧告を受けた遊休農地について、通常の農地より固定資産税の評価額を引上げ。
所有する全農地を農地中間管理機構に10年以上貸し付けた場合は、固定資産税等の課税標準を最初の3年間価格の2分の1等とする特例措置を創設。
(2015/12/24 財務省HPより)

この文章の内容だとちょっと分かりにくいので少し解説をしましょう。

固定資産税というモノは、地方自治体(市や町など)が定めた評価基準に基づいて「固定資産税評価額」を計算し、その金額に税率(1.4%程度)を乗じて算出します。

建物が建てられる宅地などについては、この固定資産税評価額は「正常売買価額」と呼ばれるものになっています。
それに対して、農地についてはこの正常売買価額から45%相当を割り引いたものが固定資産税評価額、すなわち固定資産税の基準になっているんですね。

ですから、宅地に比べて農地の方が固定資産税の負担割合は低いのです。

で、今回の改正というのは
「農地にしているから評価を下げているのに、農地として使っていないんだったら評価は宅地と同じにするよ!」
という内容です。

つまり、農業をしていない農地については、45%相当減額していた措置を取りやめるというわけです。
もし、この措置がなくなれば今までよりも約1.8倍ほど固定資産税が上がる計算になります。
カタチ的には「減額されていたものが元に戻る」というコトなのですが、農家にしてみればたまったものではないですね。

具体的には、農地として登録されているのに駐車場や資材置き場などに使われているようなケースが増税の対象になるようです。

逆に減額になるパターンも?

ただ、固定資産税が逆に減額になるケースもあります。

国は日本の農業の生産力をアップさせたいという思惑があるので、農業の大規模集約化と高度化を目指しています。
語弊はあるかもしれませんが
「小さい零細農家はやめてもらって、ちゃんと事業として農業をできるような大きな生産者をつくりたい」
というのが国のスタンスです。
(食料自給率や食の安全という部分のお話もありますが、経済合理性を追求すればこのような結論になるわけで・・・)

そのため農地中間管理事業、いわゆる「農地集積バンク」という事業を推進しています。

この事業は、農地集積バンクが所定の基準を満たした遊休農地を借り受けて大規模農家などに貸し付けを行うことで、遊休農地の利用を促進しようというモノ。
そのインセンティブとして、遊休農地を農地集積バンクに貸し付けた農家については、固定資産税を安くするというプランです。

所有する全ての農地を農地集積バンクに10年以上貸し付けた場合には、その貸付期間に応じて固定資産税が本来の2分の1に軽減されるという内容。
農業について「今後どうしようかなぁ・・・」と考えている人には良い内容かもしれません。

ただ、結構要件が厳しい。

▼ 貸し出す耕作面積は10アール以上無ければダメ
▼ 山間部など耕作に不適当と認められる地域はダメ
▼ そもそも農業振興地域内の農地でないとダメ

というわけで、どんな農地でも良いというわけでは無いんですね。

最近は農地にソーラーパネルを設置してしまう人も増えてきましたね。

農業に対するスタンスが違う

最近は新しく農業を始める「就農」という活動が人気です。
小田原をはじめとした神奈川県西エリアでも、地域の特産を生かした新しい農業スタイルで経営をしている人たちが増えてきました。

朝カフェ勉強会「地域での食の連鎖と農業の関わり」
10月18日(日曜日)、南足柄市にある自然養豚場「農場こぶた畑」に農園体験に行ってきました。 天気がとても良く秋の心地よい風が吹き抜...

そのような方たちは、色々なプランをもって生産を効率化したり差別化を図ろうとしていますが、おじいちゃんやおばあちゃんたちが主体の農家ではなかなかそういう取り組みが難しいのが現実です。

農協の言われるままに苗を買って、農協の言われるままに肥料をまいたり農薬を使っていては、良い作物は出来たとしてもそれでメシを食っていくことは出来ません。

多くの農家のおじいちゃんたちの確定申告の手伝いをしています。
少ない年金収入を、実家の農業の維持に食いつぶされていく現状を見ていると切なくなってくるのです。

「耕作放棄地は課税強化」という現場を知らない政府の暴走
自分の実家は農家をしています。 農家と言っても兼業農家ですが、小田原特産の梅やミカン、お米などを作っています。 今の時期は青...

まとめ

私自身も実家で農業を営んでいます。
両親がほそぼそと農業仕事をやっていますが、農家の仕事と言うのは決して簡単なものではありません。

「農業をやめる」という選択は、先祖代々受け継いできた土地を手放すのと同じくらい決断がいるものです。
中途半端に農業を続けさせる政策をするより、農家をやめる「離農」という選択肢もあるんだよというコトをもっとバックアップしていっても良いのかなと思っています。

「就農」をサポートする団体は多いですが、私は「離農」に対してサポートができるように考えていきたいと思います。

農地の相続についてもサポートしていきます!

 

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

私の中での確定申告期間はあと3日間。
この3日間である程度の確定申告にケリをつけたいと思っています!

【今日のトレーニング】

もうちょっとだけお休みします・・・

【1日1新】 1日1新についてはコチラ

新しいマグカップ

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

The following two tabs change content below.
すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

ABOUTこの記事をかいた人

すずき会計代表 税理士 行政書士
小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。
「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中!
相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。