老後破産~年金だけでは生活できない~

昨年、NHKスペシャルで放送していた「老後破産~長寿という悪夢~」が書籍化されていたので早速読んでみました。

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ショッキングなタイトルかもしれませんが、内容は現実に起こっている問題を取材したドキュメンタリーです。
自分は高齢者の方からお金や相続の相談を受ける機会が多いのですが、この本に書かれているような内容のお話も聞いたことがあります。

現在の日本が抱えている負の部分を考えていかなければなりません。

 

相続税の対象となる人は全体の6%

平成27年1月から改正相続税法が施行され、相続税の対象となる方が増加しました。

現在の相続税の場合、相続する財産が「3,000万円+法定相続人×600万円」を超えると相続税の申告書を提出しなければならない可能性があります。
例えば、ご主人が無くなって相続人が奥様と子供二人の場合には
「3,000万円+3人×600万円=4,800万円」
以上の財産がある場合には、相続税が発生する可能性があるため、相続税申告書を提出する必要があるわけです。

どれくらいの人が対象になるかと言われていると、だいたい亡くなった方の6%程度が相続税の対象となると言われています。
(実務的には特例を使って税額がゼロになる方もいるので、申告が必要な方はもう少し多いかもしれません)

課税対象が広がったとはいえ、やはり相続税は「お金持ちに対する税金」です。

逆に、残りの90%の人たちには相続税は関係ない税金と言えるかもしれません。

むしろ、「財産なんてほとんどない、収入なんてほとんどない」という高齢者が着実に増えているという現実があるのです。

 

高齢者の収入は年金に依存している

厚生労働省の調査によれば、65歳以上の高齢者のうちの60%近くは年金のみの収入という方です。
70歳前後くらいまでは働いている方もいられるかと思いますので、ほとんどの方が年金のみの収入で生活していることが分かります。

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自営業者などが加入している国民年金の場合、平成25年の平均年間受給額は約65万円。
サラリーマンなどが加入している厚生年金の場合、平成25年の平均年間受給額は175万円ほどです。

今後は年金の受給額も目減りしていくことが予想されます。
はたしてこの収入だけで暮らしていくことは可能でしょうか?

平成25年の厚生労働省の調査では、65歳の段階での持ち家率は90%、平均貯蓄金額は2,500万円。
高齢者世帯が生活をしていくためには2人世帯で年間300万円ほど必要と言われています。

それを考えると、厚生年金の世帯で年間80万円ほど、国民年金の世帯にいたっては年間170万円ほど不足してしまいます。

つまりその分だけ貯蓄を切り崩していかなければならないのです。

 

長生きするほど生活が苦しくなる悪夢lgf01a201406060800

仮に平均貯蓄金額があったとすれば、厚生年金の方は31年分の生活費が賄える計算になります。
ただ、国民年金の方の場合については15年分の生活費しか賄うことができません。

また、高齢になればなるほど病院などの医療費や介護費などの支出が増えていきます。
年金の受給額も現在より増えることは無い、むしろ減額される可能性が高いです。消費税の負担も増えます。

「持ち家有りで3,000万円以上金融資産」があれば大丈夫と言われています。
ただ現実はどうでしょう?
特に自営業者の方にとっては高いハードルと言えるのかもしれません。

 

団塊世代よりも上の世代は「経済的に恵まれた世代」と言われています。
その方たちですら、老後の経済状態に不安を抱えながら生活をしているのです。

それよりも下の世代、特に団塊ジュニアよりも下の世代の人間にとって、65歳の段階で「持ち家有りで3,000万円以上の金融資産」をつくることは可能でしょうか?

現在の年金制度は1961年に設計された制度です。
当時は高齢者と現役世代が同居することを前提に制度設計がされました。
そのカタチに戻れというのは難しいと思いますので、現在の状況に併せた制度設計を考える必要があります。

ただ、制度が変わるのを待っている余裕はないかもしれませんけれど・・・(;´Д`)

 

 

 

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

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