指定管理者の評価委員という仕事

SP-006普段は町中を走るトレーニングがメインですが、天気が悪い日が続くとなかなか外でトレーニングをすることができません。
そんな時は近くにある公共の体育館のジムを利用したり、体育館内のランニングコースを利用したりしています。

何気なく利用しているこういった公共施設。
公共施設の全てを管理運営しているのは、市区町村などの行政機関だと思っている人も多いかと思います。

実は最近はこのような公共施設を民間の会社に委託管理しているケースがあるのです。

指定管理者委託制度というシステム

このようなシステムを「指定管理者委託制度」といいます。
民間の知恵を公共施設の運営に生かそうというわけですね。

バブル景気の崩壊後、どこの行政機関も勢いに任せて作ってしまった「ハコモノ」施設の運営に困っていました。
こういったハコモノは、基本的に税金で運営されています。
たとえ運営が赤字であったとしても税金で補てんされるので、赤字前提の運営が続いていたのです。

ただ、このような状況が続いていれば行政の方の財政ももつはずがありません。
このままではマズイということで、管理運営のプロである民間の会社の知恵を生かそうということで指定管理者制度が生まれました。

具体的には、

① 自治体が指定管理者に委託管理をして欲しい施設をリストアップする
② 民間の会社は、自分たちが管理運営を希望する施設に対して、「自分たちがどういうプランで運営していくか」ということをプレゼンする。
③ 自治体は複数の業者のプレゼンを比較・コンペをして、一番内容の良い業者を選定する。
④ 選定された業者は、自分たちがプレゼンした内容を前提とした管理運営を行う。

という流れで進んでいきます。

管理運営の委託期間は施設によって異なりますが、だいたい2~6年くらいの周期で行われているようです。
そして、一定の周期で同じようなコンペを繰り返して業者を選定していくという流れになります。

業者のメリット・行政のメリット

民間の業者側は「ハコモノから得られる利用料収入」と「委託管理手数料」の2つが収入の柱。

例えば運動公園の委託管理を受けた業者は、スポーツ団体や売店など利用者が払う利用料収入や販売代金などが収入源です。
ただ、こういった利用料は市区町村などの条例で定められていることが多く、自分たちで勝手に金額を設定することができません。
赤字前提の施設などでは利用料だけでは民間業者もやっていけないので、一定の委託管理料などももらうことができます。
公園の植栽や草刈りなど、収入と直接結びつかないような管理もあるので、このような委託管理料が必要となります。

行政側にとっても、自分たちが管理するよりも効率的に運営してもらえるので、余計な税金を投入しなくて済むというメリットもあります。

最近よく話題になっている事例としては、佐賀県にある図書館が管理運営をTSUTAYA(カルチュアコンビニエンスクラブ)に委託して利用者が増えたという事例がありました。
ただ、手放しで上手くいっているというわけでは無いのが現状のようです。

第三者評価委員会

このような指定管理者制度について、実際に正しく運営されているのかという事実を確認するために第三者評価制度というものを採用している自治体があります。

地元の自治体である南足柄市がこの制度を採用していますが、私はこの第三者評価委員会のメンバーを務めています。
メンバーは5名ほど。有識者の立場として弁護士や大学教授などと一緒に税理士として参加しています。
実際にこの木曜日と金曜日の二日間にわたって、指定管理者制度を採用しているいくつかの施設について評価をしてきました。

まず、1日目が該当施設が実際にどのように運用されているか、現地に行って確認します。
そして2日目にその委託管理について最初のプレゼン内容に沿った形で運営されているかどうかを書面でチェックします。

今回の評価対象となるのはスポーツ施設が中心です。

DSC_1668

南足柄市の総合体育館

野球場などがある総合運動公園

野球場などがある総合運動公園

酒匂川の河川敷グラウンドやパークゴルフ場

酒匂川の河川敷グラウンドやパークゴルフ場

足柄峠に向かう途中の広町にあるパークゴルフ場

足柄峠に向かう途中の広町にあるパークゴルフ場

木曜日はあいにくのお天気だったので施設を回るのは大変でした(-_-;)

南足柄の体育館は最近行っていなかったのですが、指定管理者が入ってからだいぶキレイになった気がします。
トレーニングジムなども有料スポーツクラブに遜色ないくらいでした。

パークゴルフ場もとても綺麗でした。
1ラウンド(18ホール)回っても利用料は200円。安い。

2日目は市役所の会議室で書類上のチェックを行います。
最低限の維持管理だけではなく、利用者の満足度をどのように向上させているのかという点も踏まえてチェックをしていきます。

税理士という立場上、財務や会計面での指摘をしていかないとならないのですが、どちらかというと施設の利用者目線でチェックをしてしまいます。
スポーツ施設は普段から利用者として使っていますからね…。

でも全体的にひと昔に比べたら「ここまで色々やっているんだなぁ」と感心するくらい高いレベルで運営管理されています。

体育館などの利用者の数は、委指定管理者を導入する前と比べて3倍にもなっています。
業者サイドとしては利用料が増えればそれだけ自分たちの収入が増えるわけですから頑張ります。
行政サイドとしても、市民の満足度が上がることが一番です。

そもそも赤字だから委託しているという事実

こういった制度については賛否両論ありますが、大事なのは「利用する市民にとって満足度が高い」ことを踏まえながら「利用しない人にとっては負担が少ないこと」を両立させること。

指定管理者は頑張って運営していますが、根本的に採算度外視で作った施設で利益を上げるのは難しいことです。

採算がまったく取れない施設を作るということは、相当に慎重に検討しなければなりません。

「市民や国民のためなのだから多少の税金は使うのはやむなし」といって3,000億円ほど使おうとしたバカもおりますが、このような大規模施設については作る段階からもうちょっと考えないと・・・。

The following two tabs change content below.
すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

ABOUTこの記事をかいた人

すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。