課題だらけの司法試験~問題漏えい事件から考える~

昨日、今年の司法試験の合格発表がありました。10285000975
合格者数は1,850人で全体の合格率は23.1%という結果でした。

司法試験と言えば日本で一番難しいと言われている国家試験の一つです。
原則として法科大学院を修了した学生を対象として行われるようになった新・司法試験制度。

色々と物議をかもしてきた試験制度ですが、とうとう落ちるところまで落ちてしまったようです。

試験作問担当の試験委員が、受験者である教え子に試験問題を漏えいしてしまうという制度の根幹を揺るがす事件が起きてしまいました。

 

ありえない試験問題の漏えい

事件の概要はテレビや新聞で報道されているとおりです。

今年の司法試験の出題内容を受験生に漏らしたとして、法務省は8日、試験の問題作成や採点を担当する考査委員を務めていた青柳幸一・明治大法科大学院教授(67)を同日付で解任し、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で東京地検に告発したと発表した。
地検特捜部は教授らから事情を聴くなど立件に向けて捜査に乗り出した。
司法試験の問題漏えいを巡って考査委員が刑事責任を追及されるのは初めて。

今年の司法試験合格者は8日夕に発表される。合否を判定する司法試験委員会は今月5日、出題内容を伝えられた受験生を採点対象から除外し、司法試験と司法試験予備試験の受験を5年間禁止した。
考査委員は法相が任命する非常勤の国家公務員。
関係者によると、受験生は教授の教え子で、同大法科大学院を修了した20代女性という。

法務省などによると、青柳教授は問題を作成する考査委員(約130人)の一人として、5月にあった司法試験の論文式試験で、自身の専門である憲法分野の出題に関わる一方、試験前に自ら作成した問題の内容を漏らし、解答として論述すべき事項を指導していた。
この受験生の憲法分野の得点は突出して高く、他の考査委員から司法試験委員会に「一定の情報漏えいがなくては作成困難な答案内容だ」と情報提供があり、発覚した。
法務省は「漏えいがあったのは1人と判断した」と説明している。

(毎日新聞より抜粋)

正直言って、他の受験者の人たちがかわいそうです。

毎日、寝る間も惜しんで勉強してきた方がほとんどでしょう。
自分も国家試験の勉強にはとても苦労をしたので、受験生がどんな気持ちで毎日勉強を続けて、苦しい思いをしながら本番の試験に臨んでということが分かります。
それこそ試験前には、「どこが本番の問題で出るか」ということを教えてくれる人がいないかな・・・なんて妄想を抱いてしまうくらい追い詰められています。

ただ、だからと言って本当にそんなことが現実に行われるなんて夢にも思いませんでした。

ましてや、法律というルールに司る立場である法曹界の権威である方が、ルールを無視した行為をしてしまうなど言語道断です。
当然、問題となった青柳教授は法曹界から永久追放となるでしょうし、その話にのってしまった女子学生も今後は十字架を背負って生きていかざるを得ないと思います。

これで、青柳教授の教え子は「もしかしたらあの人も教えてもらったんじゃないか?」というレッテルを貼られてしまう可能性があるわけです。

そもそも、このような事態が起こりうることは従前から指摘されていました。
7年前にも似たような事件が起こっていたのに、それを生かすことができなかった司法試験委員も大いに反省してもらいたいと思います。

新司法試験制度は本当に価値があるのか

この事件ばかりが大きく報道されていますが、今年も法科大学院出身者よりも予備試験合格者組の合格率が高かったという事実を忘れてはいけません。

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弁護士ドットコムより

全体の合格率は23%ですが、予備試験組の合格率は60%を超えています。
一番法科大学院で合格率が高かった一橋大学法科大学院よりも7%弱合格率が高いのです。

予備試験組は、法科大学院を卒業せずに本試験前の予備試験という狭き門を潜り抜けてきたエリートです。
法科大学院を終了するためにはある程度の学費がかかりますので、予備試験組には経済的理由で法科大学院に行けなかった人も含まれると思います。
逆を言えば、法科大学院を修了できる人は、ある程度経済的に余裕があるということ。
そういう意味では、経済的理由となりうる要素を受験資格にしてしまう新司法試験制度は、正直言って平等な試験とは言えないかと思います。

既得権益を捨てる

司法試験だけに言えることではありませんが、やはり資格試験というものは「誰でも同じ条件で受験できる」ことを前提とした方が良いと思います。

そして、統一した試験制度を合格した人にのみ資格を与えるべきだと思うのです。
免除制度や受験資格制度、資格自動付与制度は廃止した方が良いと思います。
そして資格の質を維持するために、何年か事に更新というハードルを設けていく。

ペーパー試験にも限界はありますが、客観性という意味では一番分かりやすいかと思います。
とりあえず、法科大学院制度は大幅に見直した方が良いですね。

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すずき会計代表 税理士 行政書士 小田原・湘南地域を中心に地域密着で中小企業をサポート。 「走る税理士」としてトレイルランニングで百名山制覇に挑戦中! 相続や事業承継などに特化した「小田原相続サポートセンター」や起業家を支援する「小田原会社設立開業サポートセンター」などを運営している。

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